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秘抄

 舐めろという言葉に、皆守は眉を寄せた。ほんの至近距離にある葉佩九龍の表情は、皆守がそれに従わないことなど、考えてもいないというくらいに自信に溢れていた。
 ふざけるなと、叫ぶのは簡単だと思った。だが。
 葉佩の口の端が上がる。皆守は、目を伏せ、ゆっくりと差し出された指に舌を這わせていた。
 このまま歯をたててやる。
 皆守は、指をくわえたまま、葉佩を見上げた。
 顔が近くなった。指をくわえさせたままだった。葉佩の舌が、ゆっくりと皆守の唇を舐める。自分の指があるのを、気にしてはいないようだった。
 微かに皆守の喉が鳴る。葉佩は指を引いた。
「次は?」
 慈悲深い笑顔だった。皆守の眉間のしわが深くなる。ぎりと奥歯を食いしばりながら、皆守は葉佩に背を向けた。


 背後からの律動を感じて、皆守は息を吐いた。その唇を犯すかのように、葉佩の指先が歯茎を撫でる。皆守は歯を食いしばった。内部にいれるものかと思っていた。
「こーちゃん」
 甘い囁きを聞いた。皆守は目を閉じた。
「大丈夫だよ」
 何がだ、と。言葉を発することは出来なかった。そんなことをすれば、指先がさらに深く入ってくる。瞬間、大きく引いた葉佩に、突かれる。今まで以上に深い。皆守は声をあげた。すばやく入ってきたゆびさきに、口をふさがれた。
「何を隠していても」
 思わず身体がこわばった。同時、自らのものが葉佩のものを締め上げたのを感じる。熱さと大きさが、今まで以上にリアルに響いた。
「おれはこーちゃんがだいすきだよ」
 身体をよじる。あげようとした声は、舌先をこねる指に邪魔された。