午後の保健室は、暖かな日差しの中、静まり返っていた。鍵が開いたから、留守ではないと思っていたのだけれど。
久しぶりの保健室だった。ほんの数週間前は、毎日のように通っていたというのに。
だけど、こまったな……。勝手に薬をあさるわけにもいかないしなんて考えていたら、ようと声をかけられた。
「どうした? またか」
ごそごそとベッドから起き上がる気配があったかと思うと、皆守くんが顔をだした。オマエも不健康だなあと言いながら、アロマパイプを取り出している。ルイ先生ならすぐ戻ってくると言って、アロマに火をつけ、目を細めた。
「皆守くんこそ、大丈夫?」
「オマエも、たまには屋上で昼寝なんてどうだ。頭痛薬なんかより、よほど効く」
がりがりと頭をかきまわした後、皆守くんはそう言って笑った。太陽の光の下、健康的だとか。
「それは気持ちよさそうだね」
「だろう? 九ちゃんと、今度、布団もってってやるかとか言ってるんだけどな。何なら今からやるか?」
今日はよくはれているし、頭痛も吹っ飛ぶだろう、と。その言葉に、僕は残念だけどと首を横にふった。
「部活で、突き指したみたいなんだ。だから、湿布をもらえないかと思ってきたんだけど」
何だそういうことかと、皆守くんはアロマを吸った。
「つまらん」
「……本当にするなら、教えて欲しいな」
「よし」
これでオマエも共犯者だとか。ええ? 何で共犯? 寮のふとんをもってくるとかじゃなくて?
何をする気なのかと尋ねる僕に、ルイちゃんなら職員会議だからそろそろ帰ってくると言って、皆守くんは笑った。